2019年4月にテレビ東京系列で放映された料理系ホームドラマです。
モーニングに連載された漫画が原作で、2007年から2023年までの累計発行部数が945万部というから、ものすごい人気が分かります。
料理系ドラマといっても、ただ料理を作っておしまいというわけではありません。
主人公の男性2人がゲイ同士で、同棲生活を送る中で起こるハプニングや人間ドラマをほのぼのとした情景で描く内容になっているんです。
お互い40代で片方が弁護士、片方が美容師という職業で、どちらもそれなりに社会生活を送る中、実はゲイだったという驚き(見ている方が)
しかもドラマの主人公2人を演じているのが西島秀俊さんと内野聖陽さんという、どちらも男前だけど、ゲイとはあまりイメージできない俳優さんなのも、意外性がダブルで面白さを醸し出していたと思います。
私はゲイではないので、そちら方面の興味はないのですが、なぜかひょんなことでこのドラマを見始めてから、最終回まで一度も見逃すことはありませんでした。
見ているうちに引き込まれてしまう「吸引力」。
見た後に訪れる、ほのぼのとした「幸福感」。
今回のレビュー記事ではなぜ私はそう感じたのか、そしてこのドラマのどこが魅力なのか、シーズン2はあるのか?を合わせて語っていきたいと思います。
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ドラマ「きのう何食べた?」に見始めたきっかけ
まずはこのドラマを初めて見ることになったきっかけをお話ししましょう。
最初に見たのはコロナ禍の2021年でした。
いつも見ていたワールドビジネスサテライトニュースを見終わって、しばらくそのままぼーっとしていたとき、この番組のオープニングが始まったときのこと。
他のドラマや映画でよく見ていた俳優さん(西島秀俊さん)が美味しそうな料理を作るシーンと、硬派だけどユーモラスなイメージのある内野聖陽さんが少し「おねえ」な雰囲気で登場する場面。
「ん?」と思いつつも、料理がすごく美味しそうで、まずそこに惹かれたことをよく覚えています。
ドラマはそこまで見ない方で、どちらかというともったいぶった演技や描写が苦手なほうなのですが、ドラマが進むうちに登場人物の穏やかさや、事件性のまったくない淡々とした日常の描写が「心に響いた」感覚。
オープニングの静けさと穏やかさに少し惹かれ、続けてみるうちに思いもよらない俳優さん同士のゲイのカップルという配役に度肝を抜かれ、そして彼らを巡る人間ドラマの優しさやホッコリ感に、いつの間にかものすごく引き込まれていました。
最後までその穏やかさやほっこり感は抜けることはなく、エンディングも優しさを維持したままで終わっていきました。
「このドラマ、面白いな」
観終わった後、正直にそう思いました。
そして続けてまた見ようとも。
番組表を見ると「再放送」だったことに気づきました。
そうか、2年前に放送していたドラマだったのか、と。
自分の知らない間に随分と面白いドラマがあったんだな、と悔しいような嬉しいような複雑な気分になったことをよく覚えています。
金曜日の夜という、一週間が終わってほっとする夜の時間帯というのも、ドラマの癒される雰囲気とマッチングしていたのだと思います。
これがこのドラマを見るきっかけでした。
ドラマのあらすじと魅力
私自身のドラマとの関りを述べたところで、ドラマ本体のちょっとした「あらすじ」や「魅力」を紹介していきたいと思います。
まずは「あらすじ」を見ていきますね。
ゲイであることを隠しながら弁護士として働く筧史朗(西島秀俊)と、ゲイであることを隠さず美容師として働く矢吹賢二(内野聖陽)。
「シロさん」こと筧史朗と「ケンジ」こと矢吹賢二の2人は、史朗の部屋で同棲している。
「シロさん」は慎ましいストイック気味の倹約家であるが、きりっとした男前の見掛けによらず優柔不断な一面も持っている。
将来に備えた家計管理の一つとして2人分の食費を月2万5千円(後に3万円)に収める事を目標にしながらも、仕事は最小限に定時で切り上げてまで2人の食事をつくることに喜びを感じている。
片や賢二は、自分の「愛」に一途なロマンティストでありながら、見た目に反して自分に厳しい一面も持っている。
そんな2人が、お互いの価値観の違いやゲイ・カップルである事ゆえの葛藤と向き合いながら、2人で一緒にいることの意味を確かめ合って絆を深める姿を「食」を通して紡ぐ物語。
このあらすじの通りのストーリー展開でドラマは進んでいきます。
西島さん演じるシロさんは、西島さんがもつイメージそのままの人柄という感じです。
誠実で真面目で、でもどことなく不器用で、朴訥な雰囲気。
でも時折見せる笑顔に優しさと温かさを感じさせてくれる。
自分が持っている「西島さん」そのものがシロさんという感覚でした。
料理が趣味という設定も、いかにも作ってそうな雰囲気をもっていますよね。
逆に内野さん演じるケンジは、内野さんのもっている「スカッとした男らしさ」とは正反対の性格で、「なよなよ」「繊細」「優柔不断」「嫉妬深い」がすごく目立ちました。
「蝉しぐれ」で一途な若い武士を演じて涙を誘ったり、「風林火山」で山本勘介を演じて戦国の非情さを表現したりを鮮烈に覚えていた身としては、「きのう何食べた」で見せてくれた内野さんの「おネエ」ぶりは意外性しかないという印象でしたね。
確かに「おネエ」な発言や表情、体の動きに「ええっ?!」と最初は引いてしまったのですが、でも不思議と見進めるうちにだんだん気にならなくなってしまうのです。
もともとそこまで硬派な顔つきではなく、クールだけど優しめの二枚目という雰囲気が違和感を和らげていたのかもしれません。
ユーモラスという面でも、2016年の大河ドラマ「真田丸」で演じていた徳川家康の情けなさぶりが印象に強かったこともあって、「きのう何食べた」でのおネエな演技を馴染みな感覚で見れていたのかもしれませんね。
そんな2人の穏やかな同棲生活の中で、毎回起こる「軽いハプニング」がドラマに動きを与えます。
それはよくある「事件」「裏切り」「衝撃の結末」のような刺激的なものではなく、あくまで日常をベースにした「なんてことのないさざ波」程度のもの。
そして最後には丸く収まって、いつもの日常を取り戻していく・・・
そんな「穏やかさ」「優しさ」にすごく惹かれていました。
毎回ごとに話が終わっていくスタイルで、次に引きずらない「さっぱりさ」も気に入りました。
なによりも、起こったハプニングの締めくくり方や、周りの登場人物たちとの会話の流れが「大人の穏やかさ」であることに「安心感」を覚えるのですよ。
若い人向けのドラマにはない「穏やかさ」「大人の言葉」が、ドラマのキャラクターと年齢的にも近い私自身の感覚と合っていたのかもしれませんね。
度肝を抜かれたゲスト出演の俳優さん
基本的にはドラマの展開と同じ「穏やか」なキャラクターの中、唯一、途中の回で出てきた俳優さんに度肝を抜かれました。
それが山本耕史さんです。
山本さんは「一つ屋根の下で」から時々ドラマや映画で見る俳優さんですが、イメージ的には「真面目」という印象がありました。
同じく内野さんが出演していた2016年の大河ドラマ「真田丸」でも、頭が切れる石田三成を演じていたりと、まじめな切れ者というイメージが強くあって、この「きのう何食べた」で演じた配役が意外過ぎたのです。
それはシロさんやケンジと同じく「ゲイ」の男性役でした。
それも登場したての始めから、すごい目力でシロさんにモーションをかける肉食系な役柄。
もともとマッチョな体をしている俳優さんなので、それがまたあの「グワシッ」とした目つきと合わさると「怖いよ!」としか思えないという・・・(笑)
でもそれだけだと「ゲイの切れ者」として、まだ自分が山本さんに抱いていた俳優のイメージとはそこまでかけ離れたものにはならなかったと思います。
「きっつー!」と引いたのが、山本さんが演じる小日向という中年男性が、アイドル系の可愛い若い男性と同棲しているということ、さらに小日向はその若い男性に尻に敷かれていて、どんな要求でも言うことを聞いてしまうという「無茶ぶり」な描写でした。
山本さんの大げさな表情や目力と合わせて「なんかもう・・・この世界すごいな・・」としか感想が言えなくなってしまった回もありました。
小日向は準レギュラーとして、その後も出ていましたが、強烈な「濃いキャラ」がいつの間にか癖になっていて自分でも怖かったですね(笑)。
こんな感じで自分の中では「シロさん」「ケンジ」「小日向」の3人が「きのう何食べる」のコアメンバーになっています。
心に残った放送回
色々とあるのですが、やはり一番「心に残った」回といえば、シロさんの実家にケンジを連れて行ったときの最終回です。
シロさんが自分がゲイであることへの両親の考えや思いを馳せたり、できるだけ恋人の両親に自分のことを「ゲイ」として認識されないよう、一生懸命に男ぶるケンジの健気さが心に残りました。
無事にケンジはシロさんの両親との会食を済ませるのですが、その後のシロさんが両親と語る流れや、帰宅後に交わすケンジとのやり取りなど「大人の配慮や優しさ」が随所ににじみ出ていた良い放送回だったと思います。
そのときの小道具で使われた料理も良かったですね。
料理を作る過程で心の内を表現したり、料理に込められた想いで「何も語らなくても分かる」感覚。
いいですよね、大人の優しさに満ちていて。
ほんわかと心癒された最後の回でした。
ドラマで使われていた料理と風景
「きのう何食べた」では、ドラマの展開と同じレベルで「料理」が物語の大きなウェイトを占めています。
同棲する二人のうち、シロさんが料理担当で、しかも相当上手いという設定なんです。
その時々のシチュエーションに応じて、多種多様な料理を作っていきます。
その過程もけっこう綿密に描いていて、見ていると「これは料理のドラマか?」と勘違いするぐらいのカメラのアップ&キープぶり。
でもそれがそのときの状況にすごく寄せているので、違和感なく見れるんですよね。
途中からたいてい出てくるケンジの「わあ、シロさん、美味しそう!」というセリフも定番ですが、その言葉と同期するかのように観ているこちらも同じことを思ってしまいます。
それくらい出来上がった料理は美味しそうで、湯気が出ていて、実はガチの食事タイムになっていて、役者の弁当代わりに作られたんじゃないか?と思うくらいのモクモクぶり。
原作の漫画でも料理の描写がすごく評判になっていたようで、ドラマでもそれを忠実に再現したという感じですかね。
2021年には映画化されたのですが(人気のあまり)、そのときの公式動画でもテレビと同じ美味しそうな料理シーンが再現されていますよ。
ちなみにドラマ版(シーズン1)で作られた料理は以下のようになっています。
舞茸炊き込みご飯&具沢山鰹のたたき、ツナマヨそうめん、チキントマト煮込み、絶品ラザニア、濃厚味噌ラーメン、手羽先の水炊き鍋、鶏雑炊&卵焼き、鮭と卵のちらし寿司、具沢山ナポリタン、絶品おかずクレープ、ジューシーとんかつ、ジューシー鶏唐揚げ&エビチリ
この中では「絶品おかずクレープ」がスイーツ好きとして注目すべき料理かなと思います。
どれも美味しそうで、誰でも簡単に作れるような工夫もきちんと描いているのが凄いなと。
もはやここまでくると「ちょっとした料理ドラマ」になっていますよね。
スイーツ好きとしては、もし今後も放送が続くならば、ぜひともスイーツシーズンを作って欲しいですよ。
いよいよシーズン2が開始します(2023年10月6日より)
そんな「きのう何食べた?」のシーズン2がついに始まります。
この情報はネットやテレビではなく、つい最近に書店の棚でたまたま見つけた特集本からでした。
「おお!ついに始まるの!」と軽く興奮を覚えましたから。
今回もきっと優しい大人の言葉と愛情、ほっこりとする料理の描写が穏やかに描かれるのでしょうね。
そんな西島さんと内野さんは、2021年のNHK朝ドラ「おかえりモネ」で再共演を果たしています。
どちらのドラマも好きだった身として、これ以上にない組み合わせでしたよ。
シーズン2の開始が2023年10月6日(金)なので、今この記事を書いているのが2023年9月24日ということだから、放送開始まであと2週間と少しになります。
それまでは公開中のシーズン1のyoutube動画(期間限定)と、原作の漫画を見て気分に浸っておくことにしますよ。
皆さんもぜひ一度見てくださいね!
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